HIPHOPを聴いていると、ときどき耳にする「Cheeba(チーバ)」や「Cheeba Cheeba(チーバ・チーバ)」という言葉。
特に「Smoke Cheeba Cheeba」「Smokin’ Cheeba Cheeba」のような使われ方をすることがあります。
なんとなく草に関係する言葉だと分かっていても、
- 「そもそもCheebaって何?」
- 「なぜCheebaを2回言うの?」
- 「パフパフみたいな吸うときの擬音?」
と気になったことがある人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、Cheebaは大麻を意味する古いアメリカのスラングです。
この記事では「Smoke Cheeba Cheeba」の「Cheeba Cheeba(チーバ・チーバ)」について解説します。
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Cheeba(チーバ)とは?
Cheebaは、アメリカで使われてきた大麻のスラングです。
Merriam-Websterでは「cheeba」をアメリカのスラングとして、明確に「marijuana(大麻)」と定義しています。
そのため、Smoke cheebaであれば、基本的には「草を吸う」という意味になります。
weed、ganja、herbなどと同じように、直接的な名称を使わずに表現するストリートスラングの一つと考えると分かりやすいでしょう。
「Cheeba Cheeba」はただ2回言っているだけではない
ここがCheebaの面白いところです。
最初に「Smoke Cheeba Cheeba」と聞くと、「Cheebaをノリで2回繰り返しているだけ?」「パフパフみたいな吸う動作の擬音?」と思うかもしれません。
しかし、古いスラングの資料を見ると、Chiba Chibaという言葉自体が一つのスラングとして記録されています。
アメリカ政府系の薬物スラング資料では、
- Cheeba=Marijuana(大麻)
- Chiba=Heroin(ヘロイン)
- Chiba Chiba=High potency marijuana from Colombia(コロンビア産の高効力な大麻)
と、それぞれ別に掲載されています。
つまり「Chiba Chiba」は単なる「Chiba」を2回言った表現ではなく、少なくとも資料上では「コロンビア産の高効力な大麻」を表す言葉として扱われています。
「Chiba Chiba」は強い草や上物を意味する古いストリートネーム
昔のChiba Chibaは「上物」を意味していた?
現在のCheebaは比較的広く「草」を意味する言葉として使われています。
しかし、昔はもう少し限定された意味だった可能性があります。
医学誌BMJの記事では、Oxford English Dictionaryの記録をもとに、1971年の「cheeba」を「a variety of Colombian marijuana」=コロンビア産大麻の一種として紹介しています。
さらに前述したアメリカ政府系のスラング資料でも、「Chiba Chiba=High potency marijuana from Colombia」とされています。
この2つを合わせると、少なくとも1970年代前後のCheeba / Chiba Chibaには、「普通の草」というより、「強い草」「輸入された上物」「コロンビア産の質の高いネタ」といったニュアンスがあった可能性があります。
現在の「Cheeba=weed」という広い意味は、その後に意味が広がっていったものと考えると分かりやすいです。
Cheebaという言葉はいつ頃から使われている?
正確な「最初の一回」を特定するのは難しく、辞書によって記録にも差があります。
Merriam-Websterでは英語の「cheeba」の初出を1981年としていますが、Oxford English Dictionaryを参照したBMJの記事では、1971年の用例が紹介されています。
さらに音楽の世界を見ると、かなり早い段階で「Cheeba-Cheeba」が登場しています。
1973年にはMighty Tom Catsが、「Love Potion-Cheeba-Cheeba」という楽曲をリリースしています。実際の1973年のPaul Winley Records盤も確認されています。
つまり、少なくとも1970年代初頭にはCheeba-Cheebaという言葉がアメリカのブラックミュージック周辺で使われていたことは確認できます。
最近のラッパーが作った言葉ではありません。
1976年には「Smokin’ Cheeba Cheeba」が登場
さらに1976年には、Harlem Underground Bandが、「Smokin’ Cheeba Cheeba」という曲を発表しています。
Harlem Underground Bandは、George Bensonなども参加したニューヨークのファンク/ソウル系プロジェクトです。
アルバム『Harlem Underground』の1曲目として「Smokin’ Cheeba Cheeba」が収録されています。
タイトルをそのまま読むと、Smokin’=吸っているCheeba Cheeba=草、特に当時のニュアンスでは上物となるため、「草を吸っている」「いい草を吸っている」といった意味になります。
ここから見ても「Cheeba Cheeba」が「スパスパ」「パフパフ」のような擬音ではなく、吸う対象を指していることが分かります。
「Cheeba」の語源はスペイン語のChiva?
では、そもそも「Cheeba」という音はどこから生まれたのでしょうか。
ここについては、まだ完全には解明されていません。
Merriam-Websterは、CheebaについてAmerican Spanishの「chiva」から借用された可能性があるとしています。
ここでいうAmerican Spanishとは、アメリカ大陸で使われるスペイン語のことです。
ただし少しややこしいのが、スペイン語圏のドラッグスラングで「chiva」は主にヘロインを指すことです。
つまり
Chiva=ヘロイン
Cheeba=大麻
となり、意味が違います。
Merriam-Webster自身も「なぜヘロインを意味するchivaが、大麻を意味するcheebaへ変化したのかは説明されていない」としています。
そのため、「Cheebaの語源は絶対にChiva」と断定するのことも難しいです。
「黒くベタついた南米産の草がヘロインに似ていた」という説もある
もう一つ興味深い説があります。
大麻情報サイトLeaflyでは、Cheebaの語源について、
南米から流通していた黒く粘着質な草がヘロインに似ていたことから、「chiva」と関連する言葉が使われるようになった
という説を紹介しています。
確かにこれなら、
Chiva=ヘロイン
↓
見た目が似た黒く粘着質な草にも似た呼び名が使われる
↓
Cheeba
という意味の変化にもある程度納得できます。
ただし、これは有力な説の一つであり、確定した語源ではありません。
資料によってはブラジル産と説明されるものもあれば、Chiba Chibaをコロンビア産とする資料もあります。
現時点では、「南米産の強い草と関連して生まれた可能性がある」くらいに理解しておくのが無難です。
Cheeba Cheebaは品種名ではない
ここも勘違いしやすいポイントです。
Chiba Chiba / Cheeba Cheebaは、
Shatter(シャター)
Rosin(ロジン)
Wax(ワックス)
のような製品形態や抽出方法を表す名前ではありません。
特定の品種名とも少し違います。
昔の資料では「コロンビア産の高効力な草」とかなり限定した意味で記録されていますが、基本的にはストリートで使われていた呼び名・スラングとして考えるのが近いでしょう。
つまり、
「何をどう加工したものか」を表す言葉ではなく、「その草をどう呼んでいたか」という種類の言葉です。
なぜHIPHOPでCheebaという言葉が使われるのか
CheebaがHIPHOPと相性のいい言葉になった理由を考えるうえで重要なのが、その歴史です。
1973年にはすでに「Love Potion-Cheeba-Cheeba」。
1976年には「Smokin’ Cheeba Cheeba」。
つまりCheeba Cheebaは、HIPHOPが現在のような音楽ジャンルとして確立する以前から、1970年代のブラックミュージックやストリートカルチャーの中に存在していた言葉です。
そして「Smokin’ Cheeba Cheeba」は、その後HIPHOPのサンプリングネタとして何度も使われています。
Soul Jazz Recordsの紹介では、Eric B. & Rakim、Smif-N-Wessun、Tone Lōcなどによってサンプリングされた楽曲として紹介されています。
つまり、70年代のストリートスラング
↓
ファンク/ブラックミュージック
↓
ブレイクビーツ
↓
HIPHOP
という文化的な流れの中で「Cheeba Cheeba」という言葉も受け継がれてきたわけです。
ラッパーが言う「Cheeba」は単なるweedの言い換えではないかも
もちろん、現在ラッパーが「Cheeba」と言ったからといって、毎回「70年代のコロンビア産の上物」を意味しているわけではありません。
現在では普通にweedの言い換えとして使われることもあります。
ただ、この言葉の歴史を知っていると、少し聞こえ方が変わります。
Cheebaという一言には、古いストリートスラング質のいいネタを指したニュアンス70年代のブラックミュージックHIPHOP黎明期の空気感といった背景があります。
だからラッパーが「Cheeba」を使うのは、単にweedと言い換えているだけではなく、昔から続くストリートカルチャーの匂いまで含ませられる言葉とも言えそうです。
まとめ|Smoke Cheeba Cheebaは「いい草を吸う」くらいの意味
最後にまとめます。
Cheebaは、アメリカで古くから使われている大麻のスラングです。
「Chiba Chiba / Cheeba Cheeba」という形も古くから使われており、資料ではコロンビア産の高効力な草を意味する言葉としても記録されています。
そのため、
「Smoke Cheeba Cheeba」「Smokin’ Cheeba Cheeba」は、「草を吸う」あるいは昔のニュアンスまで含めれば、「いい草・上物を吸う」くらいに捉えると分かりやすいでしょう。
そしてCheeba Cheebaは最近生まれたラップ用語ではありません。
1970年代初頭にはすでに音楽作品に登場し、その後ファンクやブレイクビーツを経てHIPHOPにも受け継がれてきた、かなり歴史のあるスラングです。
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